“学校では他人のフリね!!” 音羽の声が頭を巡る。 横で何か話しかける声が聞こえる。 肩に触れられている気もするけど、全てが遠くに感じた。 なんなんだろう。 この気持ちは。 もやもやする。 悲しみにも、怒りにも、諦めにも似た感情が押し寄せてきた。 所詮、僕は…… “生徒の中で唯一話せる男子” くらいなんだろう。 僕は、長い廊下の奥に消えていく音羽の後ろ姿を ただ見つめていた。