音羽はゆっくりと顔を向けた。 静かに泣いていた音羽の表情は、迷子の小犬のように不安げで、儚かった。 そんな音羽に、僕は出来るだけ優しく微笑んだ。 『僕の話を…聞いてくれないかな?』 「話?」 『僕の……昔話。』 困惑したように頷いた音羽に、僕はゆっくりと話しはじめた。 『僕には……家族がいないんだ。』