「もう……祐介とピアノを弾くことはできない。 祐介のピアノを聴くのも辛いだけ…。 もう…祐介と一緒にはいられないの……」 それだけ言った音羽の肩は震えていた。 芯を失った袖が、不規則に揺れていた。 僕は、視線を袖から音羽の横顔に移した。 灯りを消したままの部屋と、長めの髪のせいで、音羽の表情は見えない。 僕はベッドに手をついて、ゆっくりとしゃがんだ。 『音羽………… ………僕を見て。』