『なんか…すみません。私こういうの慣れてなくて…可笑しいですよね__』




私の心臓は相変わらずドキドキうるさい



精一杯振り絞って出した言葉だった





『あ…ごめん、笑いすぎだよね俺』


『あ、いや、そういう意味じゃ…なくて…』


『けどさ、こんな純粋で正直な人…俺初めてだから可愛くて、つい浮かれちゃった…気分悪くしたらゴメンね?』


『かっゎ…⁈…///』



ボンっ!と私の顔から何かが吹き出た



『…⁈…ぷっ』



私の沸騰した顔を見て、再び笑いのスイッチが入ってしまったよう




私が純粋で正直?



違うよ…楓 瑞樹



社交辞令で言った可愛いって言葉をバカ真面目に受け取る私は…





どうしようもない大馬鹿





男知らずの常識知らず




浮かれてるのは…間違いなく私の方だよ






カタ…_


グラスが置かれる音





ふと静まり返る空気




ゆっくり目線を上げると





…バチ。





楓 瑞樹と私の目線がゆっくり交わり




『やっぱり理咲子ちゃんって』

『へっ?!ちょ…』



グイッと距離が縮まり、気づけばペタッと真横に楓 瑞樹が…




そして…




私の肩は




そっと暖かいもので包み込まれた




『え?どう…』

『本当…可愛い』

『………』



目が合ったまま離すこともできず




ただ……



『きみ…やっばり可愛いね』





何を言われてるのかは





すぐに理解できたのである。