『今日…さ』
『……っはい?』
今井さんが席を立った後すぐに楓 瑞樹が話しかけてきた
緊張で上手く聞き取れず…色気のない返答の私だ…
『いたでしょ。理咲子ちゃん』
『私ですか?』
『うん。今日収録で入ったお店で見つけた』
『あ…』
嘘でしょ…
私に気付いてたの?
…嬉しいっ
やっぱり一瞬でも目が合ったのは間違いじゃなかったってこと?
『あそこでも働いてるの?』
『はい、お昼はparadiseで働いてます』
paradise(パラダイス)とは、私の働くアパレルショップの店名
『へぇ〜よく頑張るね。見つけた時は正直ビックリしたよ。理咲子ちゃんも驚いたでしょ』
『もももちろんっ!私だけじゃなくて、みーんな感激してましたよ!!それにまさか…また会えるなんて思ってもみなかったから…』
『……さっきさ今井が言ってたこと、あれ本当』
『…?』
そう言うと楓 瑞樹は残りのビールを一気に飲み干し…
『あれから休みもなくて…なかなか来れそうになかったから……他の誘い断ったってのも本当』
『え…』
『収録で行った時に理咲子ちゃん見かけた時は本当に驚いて…なんか嬉しくなってた』
な、な、なに…なに?
私なに言われてるの?
なにを言われようとしてるの……?
冷静を装うも、目はアタフタ…
マスターが入れてくれたグレープフルーツジュースが進む進む…
『今日はラッキーだったよ』
『ラッキー?』
『収録は早く終わるし、たまたま明日の雑誌の取材がキャンセルになったから、明日は2ヶ月ぶりのオフ日』
『2ヶ月ぶり?!……さすがですね…』
『…絶対今日しかないって思った』
楓瑞樹の手からジョッキは離れ、テーブルに置かれた
そして…なぜか目線がバチッと絡み合い
『気になってる…理咲子ちゃんのこと』
………………?!
私の耳がおかしくなければ…
今この時は夢なのかもしれない…
『………』
パチパチと目だけが反応
体も声も固まってしまった
当たり前だ。
あの楓 瑞樹に
私……なにを言われました……?

