『楓と申しますが、神田理咲子さんという店員様はいらっしゃいますか?いらっしゃるなら、これからお伺いしたいのですが。…だそうだ』
突然マスターが、そう言った
…楓…か、か、かえで…
嘘じゃないよね…
こんなことって……
『マ…マ…マッマスター!それ本当ですか?!楓って、あのもしかしての楓?』
『ちゃんと日本語喋れ』
嘘でしょー…
本当に楓瑞樹から連絡かあったの?
さっきの電話は楓瑞樹だったの?
私の名前…
やばいよ…………
ちゃんと覚えてくれてたんだ
私の名前まで
ちゃんと覚えてくれてたんだ
楓瑞樹が来る
『大丈夫か?』
『へ?』
『…顔がだいぶヤバくなってるぞ』
『ちょ…ひどいマスター。緊張してるんですよ…』
『そもそもお前ら、いつのまに関係持つようになったんだ』
『なん…関係なんて持ってないですよ!前に打ち上げで来られた時に少し話をしただけで…』
”また来るよ”
あるわけない次の約束を
勝手に期待していただけ…
『そっか。あ、今のうちに外の瓶とか分別頼むわ』
『分かりました』
緊張と興奮のなか
夢と現実の間でよく分からない感情
店の裏にある倉庫の前で瓶などの分別をしながら、心臓はドキドキなっている
楓 瑞樹に会える…
今から来るんだ
私に……会いに……
……来てくれるの……かな
マスターが言ったことが本当なら
神田理咲子
私のために…?
予約されちゃった…?
……//////。
ニヤニヤが止まらねー
…
……いや、何を期待している理咲子!
楓 瑞樹は自分の言ったことを守っただけだ
1人で舞い上がって…バカだ…
全国のファンに殺される……
『落ち着け私…舞い上がるな理咲子…これは妄想でもない現実だ…楓瑞樹は芸能人、社交辞令で来てくれるだけ…』
ブツブツ自分に言い聞かせながら、ガチャガチャ音をたてながら瓶や箱など整理する
『あれ…理咲子ちゃん?』

