「手、貸して」
恭は、聖歌の右手をとると、
聖歌の手のひらに右人差し指で、
文字を書いた。
「今日は、雷は帰ってこない」
声に出して書いた。
その方が、自分も確認できるから。
私は、コクりとうなずいた。
雷おにぃちゃんは、
部活の友達の家に止まるといっていた。