「大学かぁ……ってことは島を出るってこと?」

「そういうことやな」

「将来することが決まっているのに、大学に行くってのもねぇ。あっ、そういや宮司さんになるのって資格とかいるの?」

「ああ、宮司というか神職に就くための資格な。それ専門の大学か、神職養成所ってところに通わないとなられんのや」

「なるほど。宮司さんが言っているのは、その大学に行って欲しいってことだね」


神職に就くのに、大学か養成所に行かなきゃいけないなんて知らなかったなぁ。

聞けば、その大学は全国に2校しかなくどちらにするかはその人次第だという。養成所は6か所。四年制の大学とは違いこちらは期間が2年と短いので急ぎで資格を取りたい人には向いているらしい。

と、いった具合に神職に就くには限られた選択しかないのに、どうして宮司さんはあんなことを言っていたのだろう。


「実はもう1つ、神職資格を取る方法があって通信教育ってのがあるんや。これは誰でもできるやつじゃないけど、幸い俺は神社の息子やから神社本庁の推薦状を貰えるはず、そう言ったらすっごく怒られてな」

「どうして? 通信で取れるなら楽だよね」

「たぶん、父さんも俺が楽したいがために言ってると思って怒ってるんや。本当は全然違うのに」

「晴登くん……」