「しょうがねぇなぁ、もう1回集めるか。兄ちゃんたちが手伝ってやるよ」

「いいの?」

「芙海、いいよな?」

「もちろん! 3人で探したらすぐに見つかるね」

「はると兄ちゃん、ふみねぇちゃん、ありがとう!」


お礼を言いたいのは、私の方だった。

カケルくんの純粋さと強さに胸が熱くなる。こんな風に素直でいられたのは、一体いくつまでだったかな。

私は大事なことを忘れてしまっていた。


「よし、じゃぁ誰が1番多く見つけられるか競争だ」

「わー!」


私たちはさっきカケルくんが出てきた茂みの辺りを中心にと範囲を決めて、探すことにした。ミナツの森はどんぐりの木が多く植わっているため案外簡単に見つけることができる。

落ち葉を足で掻き分けて、木の幹や根っこの辺りを重点的に。夢中になっていると、同じように屈んでどんぐり集めをしている晴登くんに後ろ向きでぶつかった。


「ごめん」

「いや……こっちこそごめんやで。ミケジャリの花を探していたのに、勝手にこんなこと言い出して」

「そんなの良いに決まってる。私だってカケルくんの手伝いしたいもん」

「芙海ならそう言ってくれると思った」


目の前にあったどんぐりを拾い上げた晴登くんが、ふっと微笑む。

それにね、私、ミケジャリよりも大切なものをここで見つけたかもしれないんだ――そう言おうとした時だった。


「あっ」

「どうした、芙海」

「あの、これって」

「あ―――――――!!」