雨宿り 晴れ気分

アスファルトに跳ね返る雨。通り過ぎる車のタイヤが水しぶきをあげる音。

アチコチにぶつかって聞こえる雨音。

車道側に宮野が立ち、歩道側に私が並ぶ。

傘の中の宮野は無言で、よくわからないけど緊張していた。

それが伝わってくるけど、私はのんきにリュックを背負い直す。

話してみると、宮野はしゃべりやすい男子だった。

たまに男子って変にカッコつけて、俺は強いんだぞオーラを発してくるけど、宮野はそんなことなかったし。

そんなことを考えていたら、彼の肩がめちゃくちゃ濡れていることに気がついた。


「肩が濡れてる。ちゃんと宮野の方も傘さしなよ。風邪引くよ」

春先の雨は冷たいんだよ。コート着てても寒いんだから。

そう思って、宮野が持っている傘の柄に手をかけたら……。


「好きなんだけど」


聞こえてきた言葉に立ち止まる。


「は……?」

「だから、好きなんだけど」

同じく立ち止まった宮野を、まばたきをして見上げると、めちゃめちゃ真剣な表情で私を見下ろしていた。


「え……ちょっ? だって、宮野と私って、クラスでもあまり話したことなかったよね?」

「ほとんど話したことはないよ。でも、いつも見ていた。俺は、永井佳純が好きだ」


そうなの。


いや、そうなの、じゃなーい!