そんなことを思ったけど、それは口にしない。

疑問は疑問だけど、そんな会話をするような友達関係でもないし。

いつもそうだから、花音からたまに腹黒とか、何考えてるかわからないけど、たまに爆弾発言するだとか、いわれのない非難をされる。

とりあえず、一歩、離れてみたら、一歩、宮野は近づいてきた。


……なんだよ、お前。


眉を寄せて顔を上げると、キラキラしい笑顔が私を見下ろしている。

「同じ方向のクラスメイト、一緒に帰らないとかあり得ないから」

そんなの知らないから!

そんな自分ルールを突然持ち出されたって、こっちにも自分ルールがあるから困るって。

私の自分ルールに照らし合わせてみたら、単なるクラスメイト、しかも挨拶くらいしか交わしたこともない男子と、一緒に帰るとかがあり得ないから!


でも電車はホームに入ってきて、しかも同じ車両に乗り込んで、連結部分から車両に移ろうとしたら、からかいまじりにバスケ部員のディフェンスに阻まれて……。

仕方なくそこに落ち着いた私に、宮野はニヤリと笑った。


どーでもいいんだけど、ここ、寒いんだよ。