「冷静になって宮野! 私は単なるクラスメイトだよ? しかもあんた、私を“孤独少女”とか言うくらい、孤独だと思ってるよーな女子でしょ!?」
「たまに、杉山と楽しそうにしてるのは知ってる。それ見て、可愛いなっていつも思ってた」
杉山って誰だ。一瞬考えて、花音の名字だったと思い出す。
それよりも問題は、宮野が“可愛い”とか言っていることだ。
「ちょっと目がおかしいんじゃないの? あんたいつも6組の中畑さんとか三浦さんとか、仲良くしてるでしょ? あんな可愛い子と一緒にいるのになんで?」
「中畑は友樹の彼女だし、三浦は大学生の彼氏持ちだ。だいたい、女子からは普通に恋愛相談されるから、俺は男だと思われてない」
いや、友樹って誰だとか、三浦さん大人の彼氏がいるのかだとか、驚愕すぎて思考は追いつかない。
「私には、どこもかしこも立派に男に見えるけどっ!?」
「そうなのか?」
そう言って、宮野は顔を真っ赤にしたから、つられて私も身体中が熱くなってくる。
どこもかしこも男に見えるけどって、なんだよ!
「それに、好きな女は普通に可愛いだろ。慌ててる今の永井も可愛いぞ」
「可愛いを連発するな! 恥ずかしいから!」
「恥ずかしがってる永井もいいな。抱きしめてもいい?」
「ダメに決まってるでしょ! なんなの、あんた突然、なんなの!」
宮野はちょっとだけ困ったように考えて、それから嬉しそうに微笑んだ。
「恋する男子? なので、付き合ってください」
空いている手が、傘の柄を掴んだ私の手に重なり、宮野の体温が伝わってくる。
嬉しくないわけじゃない。もちろん嫌いってわけでもなく、そもそも嫌うほど接点も何もない。
今さっき“ちょっと話しやすい”認定したばかり。
ゴチャゴチャ頭の中が混乱してきて、変な汗が背中を流れてきた。
「風邪、ひいちゃうよ。は、早く家に帰らないと」
「うん。もうすでにいろいろこじらせてれから気にしないで」
めちゃめちゃ気になるわーー!
もちろん、そんな怒声はあげないけど、冷たい雨の中、どこか晴ればれとした宮野の笑顔を、私は忘れないような気がした。
2017・4・27 Fin
「たまに、杉山と楽しそうにしてるのは知ってる。それ見て、可愛いなっていつも思ってた」
杉山って誰だ。一瞬考えて、花音の名字だったと思い出す。
それよりも問題は、宮野が“可愛い”とか言っていることだ。
「ちょっと目がおかしいんじゃないの? あんたいつも6組の中畑さんとか三浦さんとか、仲良くしてるでしょ? あんな可愛い子と一緒にいるのになんで?」
「中畑は友樹の彼女だし、三浦は大学生の彼氏持ちだ。だいたい、女子からは普通に恋愛相談されるから、俺は男だと思われてない」
いや、友樹って誰だとか、三浦さん大人の彼氏がいるのかだとか、驚愕すぎて思考は追いつかない。
「私には、どこもかしこも立派に男に見えるけどっ!?」
「そうなのか?」
そう言って、宮野は顔を真っ赤にしたから、つられて私も身体中が熱くなってくる。
どこもかしこも男に見えるけどって、なんだよ!
「それに、好きな女は普通に可愛いだろ。慌ててる今の永井も可愛いぞ」
「可愛いを連発するな! 恥ずかしいから!」
「恥ずかしがってる永井もいいな。抱きしめてもいい?」
「ダメに決まってるでしょ! なんなの、あんた突然、なんなの!」
宮野はちょっとだけ困ったように考えて、それから嬉しそうに微笑んだ。
「恋する男子? なので、付き合ってください」
空いている手が、傘の柄を掴んだ私の手に重なり、宮野の体温が伝わってくる。
嬉しくないわけじゃない。もちろん嫌いってわけでもなく、そもそも嫌うほど接点も何もない。
今さっき“ちょっと話しやすい”認定したばかり。
ゴチャゴチャ頭の中が混乱してきて、変な汗が背中を流れてきた。
「風邪、ひいちゃうよ。は、早く家に帰らないと」
「うん。もうすでにいろいろこじらせてれから気にしないで」
めちゃめちゃ気になるわーー!
もちろん、そんな怒声はあげないけど、冷たい雨の中、どこか晴ればれとした宮野の笑顔を、私は忘れないような気がした。
2017・4・27 Fin



