それから
今にも割れてしまいそうなシャボン玉を
割れないように
そっと包み込むみたいに
私を優しく抱きしめた。


「いつも通りで。
 いつも通り、明日、また」



体を離した佐久間君は
今にも泣きだしそうな
笑顔にも
泣き顔にも見える表情で
それ以上何も語らず
改札口を抜けていった。


私はしばらく
動けなかった。