男子たちは、ササっと自分の靴を取って
一目散に昇降口を降りて行った。


ありがとう、私を隠してくれて。
こんな泣き顔、誰にも
見られたくなかったから
私の気持ちを察してくれた
野獣の気遣いに
ほっこり胸が、熱くなる。



野獣が先に昇降口の階段を6段ほど下りる。

まだ階段にいる私に向かって
野獣が私を見ず、校門の方を向いたまま
後ろ手に
手を差し出してきた。