「それなら、私が行くよ。」 予想外の言葉に驚く間もなく、先に起き上がったのは彼女だった。 「裏から回れば、私の家のほうが近いし、それに、私も渡したいものがあるし・・・」 小さな声だったが、確かに聞こえた。 渡したいものって・・・ 詳しく聞ける度胸なんて持ち合わせていなかったから、そのまま走り去っていく彼女の後ろ姿を見つめることしかできない。 ほんと、情けねーな、俺・・・。