「な、なんだったの……?」
ぽつり、と呟いた言葉はまださっきの彼の不思議な雰囲気と甘さが漂っている廊下へと消えていった。
教室に向かおうにもどこが教室なのかすら分からないし、頭がプチパニックを起こしていてまともに頭が回らない。
しばらく、放心状態だったもののさすがに動かなくては、と私は正しい判断ができるようになったからもう彼の面影すらない廊下を静かに歩き進める。
やっと、落ち着いた心臓。
私…本当にあの人の彼女になっちゃったの?
違うよね?私は好きになった人と付き合うって決めているのに好きでもない人の彼女になるなんてイヤだ。
それに“付き合ってやってもいい”って言われただけだし、“付き合おう”なんて言われてないもん。
というよりも、あの先輩勘違いしすぎだよ。
私は一言も『好き』なんて言葉は言っていないのに。
否定をしようにも言葉を遮ってくるから誤解されたままだ。
どうしよう…。
とんでもないことに巻き込まれちゃったよ!



