【完】イジワルな彼の甘い溺愛




「はい」


「あと、これ。
俺、腹空いてねぇからお前が食べろ」



そういいながら、先輩が自分の中身の入っていなさそうなスクールバックから取り出したのは菓子パン。



「え?」


「晩飯だと思って食べろ」


「あっ…ありがとうございます」



申し訳ないと思いながらも受け取らない方が身の危険を感じるからありがたく受け取ることにした。


さっそく、開けて食べようとした瞬間、隣からグゥ〜とお腹の鳴る音が聞こえてきた。
ハッとして隣に視線をやれば、先輩が何でもないかのようにまっすぐ向いていた。


「半分こしましょう」


「いいって。
花蓮ちゃんのが無くなる」


「私が先輩と半分こしたいんです…!」



私だけ食べるっていうのも気が引けるし…
それに手当てしてくれたし…先輩は男の子なわけで食べ盛りなんじゃないかな?


夜ご飯を作りに行った時は必ず白ご飯をおかわりしてるし。



「はぁ…本当に無自覚ってこえーな」



ため息をこぼしながら先輩は私が持っていたパンにかぶりついた。