【完】イジワルな彼の甘い溺愛




「じゃあ…そろそろ帰りましょう?」


「そうだな。これ以上
花蓮ちゃんといると俺頭おかしくなりそう」



暴言なのかそうじゃないのか…意図のわからない言葉を吐き捨てると先輩は私からスッと離れた。


そのときに香った先輩の柔軟剤の柔らかい匂い。
すごく……落ち着く匂いだな。



「…んだよ、これ」



鍵を開けに行った先輩がそっと漏らした声が聞こえて「どうしたんですか?」と尋ねると先輩は眉間にシワを寄せながら私のところまで戻ってきた。



「開かない」


「え!?なんで!?」


「錆びてて開かない」



錆びてて開かないですと…!?
なんで!?お昼休みは開いてたじゃん!!



「内側から鍵なんて滅多にかけねぇからな」



冷静にそういうけど、先輩は近くにあった丸いイスに荒々しく座った。
先輩も内心は焦ってたりするのかな…?



「確かに…でもお昼休み岸先生が…」


「あれは開けるのに慣れてんじゃね?」



吐き捨てるように言った先輩の顔からさっきの意地悪さは消えていて、今は大人っぽい雰囲気が漂っている。