【完】イジワルな彼の甘い溺愛




「せ、先輩に関係ないですよ」


岸先生は色々と大変な思いをしているんだから。
それはきっと王子様キャラを演じている先輩にはわからないと思う。


いい思いしかしていないんだから。
辛い人の気持ちなんて澤井先輩に分かるのかな?



「は?お前、岸のこと好きなわけ?俺じゃないの?」



まだ勘違いしてるし……新しい勘違いもされてる。
岸先生は素敵な大人という感情でしか見ていない。
恋愛感情なんてもってのほか。



「違いますよ!
それより、先輩…王子様キャラはいいんですか?」



さっきからずっと、気になっていた。
保健室でふたりきりだといってもここも校舎内。


先輩はあんまり校舎内では王子様キャラを止めないのに今日はもうガッツリ俺様になってるし。



「そんなこと気にしてられねぇよ」


「え?」


「なぁ、花蓮ちゃん」


「は、はい!」



まだ名前を呼ばれることに慣れていないのに突然名前を呼ばれて心臓が飛び上がって、声も裏返ってしまった。