「いや…け、結構…「まあ、だから俺はこの学校じゃ王子様キャラだからそれは俺とお前だけの秘密な」
『結構です』
そう言おうとしたのに彼の言葉で遮られてしまう。
王子様キャラだかなんだか知らないけれど、そんなの私には関係ないし…!!
だけど……
俺とお前だけの秘密…とかなんかときめいてしまうじゃないか。
ありえないけれども。
こんなひどい人に絶対に恋になんて落ちたりしないけれど。
「じゃあ、僕はこれで。
僕を本気にさせられたらきみの勝ち。
まあ、無理だとは思うけど」
にこり、と再び目の笑っていない笑顔を作って、それだけを言うと彼は私から離れてさっきまでポケットに突っ込んでいた手をだして王子様オーラを放ちながら去っていった。
私は彼のその背中を黙って見つめている事しか出来なかった。
体が金縛りにあったように動かなかったのだ。
ただ、心臓がうるさいぐらいに騒いでいて
トクントクンと少し早い自分の鼓動が耳に届く。



