「も、もう帰りますっ!」


「何持ってきてくれたの?

あー、フルーツゼリーね。
仕方ないから一個だけやるよ」



先輩はそういって聞こえているであろう私の声を完全に無視して


ビリリリッと包装紙を破って中に入っていたフルーツゼリーを取り出して私に差し出してきた。



「いや…いらないですし…それに…」


「それに?」



そんな真顔で見つめられたら本音が言えないよ。
言葉に詰まらせていると彼が怪しげに小さく笑った。



「そんなにお前は俺にいじめられたい?」


「い、いじめはダメですよ…!!」



何を突然言い出すんだ…!
イジメなんてこの世にあっちゃいけないものなのに!



「そういうことじゃなくて
もっとお前のこと困らせてあげようか?」


「やめてくださいっ…!
やっぱり、もう帰りますから!」


いつまでもこんなところにいたら何されるかわからない。
もっと困らせてあげようか?なんて全く意味がわからないし。


先輩は私と一緒で頭が弱いのかな…!?


見た目は……賢そうともバカそうとも言えない。


早くここから抜け出そうと思ってくるりと反対方向を向いて歩こうと足を一歩踏み出した瞬間、がしっと腕を掴まれた。