ふぅ……私も入学早々ついてないなぁ……
これから先、やっていけるのかもう心配になってきちゃったよ。



なんて、思いながら男の先輩が去るのをじっと待つ。
でもなかなか先輩の足音が聞こえてくることはなくただ少しの沈黙が人気の少ない廊下に流れる。



「ちっ…入学して数時間なのに
軽々しく好きとか言ってんじゃねぇよ…」



……え?


私は聞こえてきた言葉たちに驚きが隠せず、思わず自分の耳を疑った。


今のは誰の言葉…?
もしかして、男の子が二人いたのかな?


でも声はさっきの“僕”と言っていた彼の声とそっくりで戸惑ってオドオドとしていると足音がこちらにどんどん近づいてくる。


な、なんでよりにもよってこっちに向かって歩いてくるわけ…!?
絶対バレる…それは非常に困る…!


今更、慌ててもバカな私の頭ではこの場を乗り切る方法が瞬時に浮かぶはずもなくて結局バレるという選択しかできないのだ。



「うわ…!?」



意を決して、バレる覚悟をした私は何も聞いてなかったという雰囲気を漂わせながら白い壁にもたれかかっていると、


彼の驚く声が聞こえてきてそちらに視線をやるとそこに居たのはなんと入学式で司会進行をしていた人だった。


イケメンだとかで生徒会長よりも騒がれていたからそれだけは覚えている。