「だ、誰もそんなことは…!」
「俺、一応年上なんだけど」
「し、知ってますけど!」
そんなの出会った時から知ってましたよ!
先輩は目立つからすぐに分かるんだ。
「知ってんの?
なら、俺のフルネーム言ってみ」
ふ、フルネーム…!?
しかも、また名前の話に戻ってる!
先輩と話してたらたくさん頭使わなきゃいけないじゃんか…!
それに、先輩の名前なんて知らないよ!
だって、入学式は半分寝てたし…内容なんて右から入って左から出ていったし。
「……」
何も言えず、黙り込んでいると
「ほら、言えよ」
先輩は考える時間もくれずに
急かしてきて、私の頭はさらにパニックになる。
「……さとしさん?」
先輩が脅すから適当な名前を出して、当たれ!とお願いしながら彼の反応を待つ。
あ、当たっててほしい…!
ここで外したら私の運命は……



