「…ぞの…れん……宮園花蓮です!(みやぞのかれん)」
危機を感じた私は名前を言わされるハメになった。
こんなの脅しだよ!脅し!
先輩…将来、詐欺師とかになっていそうだよ…。
すると、先輩は少しの沈黙のあと口を開いた。
「ふぅん。名前だけは可愛いな」
「なっ…!!」
失礼すぎる…!
そりゃあ、顔が可愛くないのも名前負けしてしまっていることも知ってるけどさ……わざわざ口に出して言わなくても良くない!?
それに私、このオオカミ&イジワルな先輩の名前知らない。
もちろん知りたいとか全然思ってないよ…!?
でも、先輩の場合は顔が整っているからどんな名前でも似合いそうだな…。
と、思いながらも先輩のことをキッと思い切り睨む。
バカにするのもいい加減にしてもらいたいなぁ…!
でも、私がどんなに睨んでも彼の表情は全く変わらない。
「まあ、こんなシチュエーションも
色々と新鮮で楽しめそうじゃん」
それどころか余裕そうな笑みを浮かべて私よりははるかに上をいっている気がする。
しかも、言っていることがまたしても意味不明だし、名前のくだりはどこにいったの…!?
「何がですか?」
「お前をここで
襲うことに決まってんじゃん」
「せ、先輩はバカですか…!?
このド変態め…!」
先輩の胸元をバッと押して距離をとる。
すると、先輩の表情はみるみるうちに険しい顔つきになっていく。
「へぇ……。この俺を変態扱いするんだ」
身長の高い彼はどうしても私を見下ろす形になる。
眉間にシワを寄せて不愉快そうな表情の先輩を見ていると背筋がゾクッとなる。



