「だから、俺は一人になりたくなくて
本当の自分を偽って王子様キャラを演じてたんだ」
本当の俺はすげー弱い。
臆病で、一人が嫌い。
それなのに一人暮らしを始めたのは
何か変わるきっかけがほしかったから。
俺の話にポロポロと涙をこぼす花蓮ちゃん。
「こんな俺のことなんて嫌いになっただろ?」
本当の俺なんて、誰も好きになってくれない。
偽りの澤井律哉は好いてくれるんだ。
こんなことを話して、花蓮ちゃんがどこか遠くへ行ってしまうのが怖くて臆病な俺は花蓮ちゃんに話せなかった。
「律哉くんって大バカものだ……」
「…は?」
花蓮ちゃんはグイッと背伸びをすると俺の両頬を小さな両手でむぎゅ、と挟んで潤んだ瞳で俺の瞳をジッと見つめた。



