「花蓮ちゃん…!」
「律哉くん……!?」
花蓮ちゃんを見つけると教室へと入って手首を掴み、有無を言わさぬように誰もいないところまで向かう。
「……」
初めて出会った廊下で足を止めた。
「律哉くん……なんで…っ」
何かを言われる前に
俺は花蓮ちゃんのことを抱きしめた。
「たくさん傷つけて悪かった」
「……」
「俺、怖かったんだ。花蓮ちゃんが
いつか俺の前からいなくなるんじゃないかと思って…情けねえよな」
立ち直れた、と思っていたけど、心のどこかではまだ傷ついていたのかもしれない。
だから、俺はまだこの学校で王子様キャラを演じている。
誰からも嫌われないように。
「律哉くん…」
「俺の話、聞いてくれる?」
小さく頷いた彼女をみて、
俺はゆっくりと口を開いた。
「…俺、中学のときはみられてたんだ」
「…え?」
口に出した瞬間、あの日々が頭の中に蘇ってきてぎゅっと目を瞑る。
俺が仲間はずれにされ始めたのは中二くらいになってから。
原因はこの整った容姿。



