ぎゅっ、と胸ぐらを掴んで俺を睨みつける流星。

だけどその瞳は俺のことを
どこか心配そうに見ているようにも思えた。


「……」


「お前だけが辛いんじゃねぇんだよ!
花蓮ちゃんだってすげー辛いんだよ。
俺だってお前がそんなしけた面ばっかしてるとイライラする」


「なんで、お前はこんな俺に……」


「そんなの決まってんだろ。
俺にとってお前は大切なダチだからだよ!」


流星の言葉に俺は思わず言葉を失った。


「だから、逃げんなよ!
ちゃんと自分の過去と花蓮ちゃんに向き合えよ。
誰かに非難されようが俺はお前のダチでずっとお前の味方だ」


あぁ、俺は今までずっと何を不安に思っていたんだろう。


俺の周りにはいつしか優しいヤツらばっかりいたじゃねぇか。


どんな俺でも受け止めくれるような、そんな奴らが。


それなのに心の中ではいつか失うのが怖いと思っていた。


花蓮ちゃんは昨日、俺に向き合おうとしてくれた。


寒い中、わざわざ俺の帰りを待って。
そこまでしてくれるやつなんて他にいねえ。


「………ありがとな、流星」


「おう。頑張ってこい。
振られたら俺が抱きしめてやるから」