「それでもいいから…!」


「…だから俺は好きじゃねぇって言ってんじゃん。
まだわかんねぇの?あーそうか。そういえばお前ってバカだったもんな」


ふっ、と鼻で笑う。

ごめんな…花蓮ちゃん。

たくさん、傷つけちまって。


「…っ」


一気に表情が曇る花蓮ちゃん。


「分かったなら、さっさと帰れよ」


俺はそれだけいうと彼女の手を退かして、鍵を開けて家の中と入った。


だけど、家に入ってすぐにドアにもたれかかって目を抑えた。


じわり、じわりと溢れ出てくる涙を必死に止めようとしたけど、その涙はなかなか止まってくれない。


「クソ…っ!」


弱くて何も出来ない自分に腹が立って、自分の前髪をくしゃりと掴む。


俺は大切な人を傷つけたくなくて遠ざけたつもりだったのに結局、花蓮ちゃんを泣かせて傷つけてしまっている。


情けなくて、胸が苦しくて、息が詰まりそう。


「っ…」


俺、こんなにも花蓮ちゃんのことが好きなんだ。


きっともうきみ以上の人になんて出会えない。