《律哉side》
「ねえ、私のこと好き?」
「……うるせえ」
「本当、つれないですよねー」
「……」
俺の隣で不貞腐れた顔をしている安川。
数日前、花蓮ちゃんと別れて自分と付き合わないと俺の秘密をバラして花蓮ちゃんを傷つけると脅してきた安川。
聞けば、安川は俺の秘密と関係している人の妹なんだとか。
俺はどうしたらいいのか迷っていた。
俺の秘密を知れば、きっと花蓮ちゃんは去っていく。
それに花蓮ちゃんを傷つけてしまうのなら別れたほうがいい。
分かっているのに、俺は花蓮ちゃんを手放せなかった。
だから、花蓮ちゃんから嫌われたんだ。
『距離をおこう』
その言葉はきっと別れを意味していたはずだ。
一度、距離をおいた人はもう俺のところに戻ってはきてくれない。
俺は弱い。花蓮ちゃんを失うのが怖くて、また誰かに見捨てられるのが怖くて自分から逃げた。
唯一、俺のすべてを知ってもそばにいてくれたのは流星だけだった。
「あ、もしかして宮園さんのこと考えてます?
彼女がここにいるのに?」
「……別にそんなんじゃねぇよ」