【完】イジワルな彼の甘い溺愛



……いた。


私の大好きな人。
今日もかっこいいな、なんて。


彼に一歩ずつ近づいていく。


縮まっていく距離にドクンドクンと鼓動が高鳴っていく。


「り、律哉くん……!」


彼の制服の袖をぎゅっと掴む。


こんなにも律哉くんが近くにいることは
久しぶりでやっぱりドキドキしてしまう。


彼は振り返ると、
ひどく冷たい瞳をして口を開いた。


「……なにかな?」


たぶん……私はもう嫌われている。

なんとなく、そう感じたんだ。


「あ、あの…」


「用がないなら引き止めないでくれるかな。
僕もそんなに暇じゃないんだ」


「でも…っ!」


「もう僕たちは他人でしょ?
付き合ってもないんだから放っておいてよ」


……えっ?


律哉くんの中ではもう私とのことは終わったことになっているの?