【完】イジワルな彼の甘い溺愛




「私って、ほんと…バカッ」


こんなにも好きなのに。
距離を置いてどうするの?


そんなことをしたって
律哉くんの気持ちは返ってこない。


むしろ、離れていってしまうばかりだ。


でも、今の私には
律哉くんの気持ちが分からない。


どんな思いで私と付き合っているのか。

安川さんのことをどう思っているのか。

私に隠している秘密とはなんなのか。


去り際に盗み見た律哉くんの今にも泣いてしまいそうな表情が頭にこびりついて離れてくれない。


私が弱いばっかりにごめんね。律哉くん。





それからは律哉くんとは
一切関わることはなくなった。


この間までの日々は
まるで夢だったかのように思えてくる。


弱くて欲張りな私は律哉くんを手放せなかった。

だから『距離をおこう』だなんて甘いことを言ってしまった。


安川さんと律哉くんはますます仲を深めていっているらしく、二人は付き合っているのではないかというだなんて噂が流れ出したくらい。