【完】イジワルな彼の甘い溺愛




「彼女の私には話せないのに
安川さんには話せるんだね」


私は、最低だ。
こんなの八つ当たりでしかないのに。


「それは、」


「…言い訳なんて聞きたくないよ!」


「別に言い訳なんてしてねぇよ。
つーか、急になんなの?どーしたわけ?」


「もうやだ」


「…なにが?」


きっと、律哉くんはわたしの言おうとしていることが分かってる。


だけど、聞き返してくるのは

私と離れるのが嫌だから?
それとも、早く離れたいと思っているから?


「律哉くんと距離を置きたい…っ」


───…別れたい。

それは弱虫な私には言葉にできなかった。


「…っ」


「ごめんね。こんな彼女で」


それだけ言うと律哉くんの返事を待たずに私は全力で走った。


だって、そうしないと律哉くんの前で泣いてしまうと思ったから。


頬を伝う涙はぜんぶきみへの想いなんだ。