「無理ならーー」


「わ、わかった!」


だって、カッコいい律哉くんの姿が見たいんだもん。


そう思って、グイッと背伸びをして
律哉くんの唇に自分の唇を重ねた。


「っ…」


「こ、これで頑張ってね!」


「あー…これは頑張らねぇとな。サンキューな」


そういうと、まるで本当に王子様なんじゃないかってくらいのキラキラした笑顔を向けて、私の頭を撫でて律哉くんは去っていった。


律哉くんが行ってしまっても、私はしばらくその場から動けずにいた。


だって、ズルいよ。

あんな顔で笑われたら
ドキドキが止まらないじゃん。

律哉くんのバカ。

そしてあっという間に
律哉くんの出るリレーの順番がやってきた。


「ほら、花蓮!
こっちこっち!」


「あっ、麗奈ちゃん!
わざわざありがとう」


人並みにさらわれて一番前からは見えないだろうと諦めていたところを麗奈ちゃんが場所を取っておいてくれた。


「いいのいいの!
ていうか、彼女の花蓮が一番近くで見ないでどーすんのよ!」