「やだ?全然そんなことないくせに。
今すっごいエロい顔してるよ」
唇が離れたと思ったらさっきの怒りに満ちたような表情とは打って変わって今度は優しく満足げに律哉くんは微笑んでいる。
え、エロい顔…!?
な、な、なにそれ……!?
深く考える隙も与えてくれず律哉くんは私の唇に自分の唇を重ねた。
今はただこのキスについていくのに必死だ。
溺れてしまいそうなほど甘く、深く…そして徐々に顔に熱を持ち始める。
「…そんな反応まで可愛いなんて反則だから」
唇と唇が離れるとほんのりと赤くなっている顔を隠すかのように律哉くんが口元に手を当てている。
「…可愛くなんてないよ!」
「はぁ…ほんと何も分かってないよね。
僕がどれだけ君のことで悩んでるか知らないでしょ」
あの傲慢で俺様な律哉くんが悩んでるの…!?
私、なにか悩ませるようなことしちゃったかな?
はぁ…とため息を付きながらも私の肩に顔を埋める。
無造作にセットされた柔らかい髪の毛が首に当たるからくすぐったい。



