「うん、知ってるよ」
なんて、余裕そうに言う律哉くんは
いつもとなんら変わりがない。
ただ、王子様キャラの律哉くんは
久しぶりに見るからなんか違和感を感じる。
どうして、律哉くんは
王子様キャラなんて演じているんだろう。
「どこに行くの?」
「ついてくれば分かる」
始業式が始まるまでの休み時間
時間にすればたった10分。
律哉くんが私を連れてきた場所は
誰も通らないような三階の渡り廊下。
「ど、どうしてこんなところに?」
「んー、花蓮ちゃんと
ふたりきりになりたかったから」
「なっ、」
そうして、律哉くんは
私のことをぎゅっと抱きしめた。
「やっぱり、花蓮ちゃん抱きしめるの好き」
「こ、こんなの誰かに見られたらどーするの!?」
「そんなの別に気にしてないよ」
その言葉が素直に嬉しかった。
だって、誰かに知られてもいいよって言われているように感じたから。



