スマホを机に置いて立ち上がり、自室に戻ろうとしたとき、ガチャ、とリビングのドアが開いて後ろからぎゅっと抱きしめられた。
泥棒か?
でも、どうやって入ってきたんだ?
でも、俺はこのぬくもりを知っている。
優しくて俺の大好きなぬくもり。
俺は夢でも見てるのか?
だって、ここに花蓮ちゃんがいるはずない。
「………なんで来たんだよ」
あー、なんでこんな言い方しちまうんだよ。
本当は会いたくて会いたくて仕方なかったくせに。
「……会いたかった、からです」
ぽつり、と吐き出された言葉は
俺の心をいとも簡単に撃ち抜いた。
そーいうのが、ズルいんだよ。
「……」
「律哉先輩に会いたいって言ってもらえて嬉しかったです…ずっと嫌われたと思ってたから…っ」
俺の背中が彼女の綺麗な涙で濡れていく。
嫌いわけないだろ。
むしろ、もっともっと好きになっちまったよ。



