「わりぃ、こんな情ねぇこと言っちまって。
すぐ忘れてくれていいから…もう少しだけこのままでいさせて」


きっと、律哉先輩には何かがある。

私の知らない、何かが。


知らないなんて当たり前で、どうだっていいはずなのにもっと律哉先輩のことを知りたいと思っている自分がいた。


10分ほど、律哉先輩に抱きしめられたあとに「今日はもう来なくていい」と言われて家に帰ってきた。


それでよかったはずなのに家に入った瞬間、どうしてだか涙が溢れてきて止まらなかった。

なんでなんだろう。

律哉先輩に突き放されてしまったような、そんな気分になってそれがとても悲しくて辛い。


甘かったり、冷たかったり。
律哉先輩はよくわかんない。


だけど、一つだけわかったことがある。


私は、律哉先輩のことが好きなんだ。
泣くほど、彼が大好きなんだよ。


麗奈ちゃんに相談しなくたって分かった。
これが、恋なんだ。


「律哉先輩のバカ…っ」


たぶん、明日にはいつもどおりの律哉先輩になっているんだと思う。


偉そうなくせに肝心なところはいつも隠される。


でも、いつかきっと話してくれる日がくる。
その日を信じて、私は律哉先輩の隣にいたい。


律哉先輩にやっと気づいた想いをちゃんと伝えたい。


だって、律哉先輩も私に
たくさん想いを伝えてくれたから。


律哉先輩の想い、ちゃんと私に届いたよ。