「なぁ、帰んないで」


そういいながら、私の腕をぐいっと
引っ張って優しくぎゅっと抱きしめた。


「俺ね、マジで花蓮ちゃんのことが好きなんだよ」


「…っ」


「花蓮ちゃんはいつも俺に惑わされてるって言うけど、本当は俺の方がいつも花蓮ちゃんに惑わされて、心をかき乱されてる」


耳元でぽつりぽつりと呟かれる律哉先輩の本音。


私だけじゃなかったんだ。

いつも余裕そうな顔しているから分かんなかったよ。


「俺をそんなふうにできるのは花蓮ちゃんだけだよ」


そんなこと言われたら本当にどうにかなりそう。


鼓動が信じられないくらい高鳴っていて
顔がどんどん熱くなっていくのがわかる。


「花蓮ちゃんが本当は俺のことが嫌いなのは知ってるけど、どーしても手に入れたくて俺のことを好きになってほしい」


律哉先輩の言葉たちにウソはひとつも感じられない。


たまに律哉先輩は辛そうな表情をする。

一件、律哉先輩は自意識過剰に思えるけどそうじゃないと私は思ってる。


だって、その表情をみせるときは
いつも自分のことを話すときだから。