「動くなって言ったろ?」


「だって、律哉先輩が変なことするから!」


「ん?変なことってどんなこと?」



し、しらばくれやがって…!!

ていうか、絶対もっと早く結べるのに遅くしているのはこうするためだったの…!?



「それは……」



言葉に詰まらせていると、今度は耳を甘く噛まれる。


そのせいで、一気に力が抜けて「ひゃあ…っ」という声とともに崩れ落ちそうになるけど、しっかりと律哉先輩が支えてくれているから大丈夫だった。



「やっぱ、いい声してんね」


「何言ってるんですか…!」


「なに?もっとしてほしいの?」


「そんなわけないです!」


「まあ、この続きはお前が俺の彼女になってからな。
さてと、昼飯の焼きそば作るぞ」



そう言うと私から離れて、再びまな板の前に立つ律哉先輩。

一方で私は火照る顔を両手で抑えて、高鳴る鼓動を鎮めるために首を左右に振る。