「………お前に会いたかったから」
「え…っ」
とろけてしまいそうなほど甘く耳元で囁かれる。
そ、そんなこと言わないでよ…!
もうドキドキしすぎて心臓がでてきそう。
「それが理由。
お前は、俺に会いたくなかった?」
「そ、それは……」
「さっさと答えて?」
先ほどまで甘かったはずの律哉先輩が少しだけいつものように戻っている気がした。
だから、私は慌てて口を開いて言葉を発した。
「あ、あ、あ、会いたかったです…!」
これは嘘じゃない。
正直、律哉先輩に呼び出されて一瞬“嬉しい”と思ってしまった自分がいた。
「ふっ……やっぱり可愛いな」
そう言って、私の手のひらにちゅっ、とキスを落とした。
満足したように笑うと放心状態の私を置いて、キッチンの方へ行ってしまった。
な、なに……今の。
手のひらにキス…!?
律哉先輩に触れられた場所、キスされた場所がジンジンと熱を帯びて熱い。



