《花蓮side》



夏休みに入りミンミン、と蝉がうるさく鳴いている中、私はというとなぜか律哉先輩に呼び出されて、律哉先輩の家にお邪魔しています。


もう通いなれた部屋。

いつもは夕方にならないと来ないからお昼に来るとなんか不思議な気分になる。



「あ、あの……用って何ですか?」



『お前に用があるから俺の部屋に来い』

そう言って呼び出されたのだ。


でも、律哉先輩は私が部屋に来てから一言も話さないし、用があるようにとても思えない。


ま、まさか……私をおびき寄せる罠!?



「んなの、あるわけねぇだろ」


「へっ…!?」



やっぱり罠だったんだ!
や、やってしまった……まんまと付いてきてしまった。


数分前の自分を恨むよ……。



「つーかさ、男の部屋に
何の躊躇もなく入るとか警戒心さなすぎ」


「いつも入ってるじゃないですか」


「俺が男って分かってんの?」



なんか、律哉先輩怒ってない?

呼び出したのはそっちのくせに怒る意味がわからないよ。