【完】イジワルな彼の甘い溺愛





「思ってないです…!」


「嘘つき。顔がショック受けてるよ」


「いっさい受けてないですから!」


「ハハッ…本気で否定してるところが嘘くさい」



クスクスと口を手で隠して小さく笑いながら言う先輩をみて、私は自分の目を疑いゴシゴシとブレザーの袖で擦った。


でも、いくら擦っても目の前の状態が変わるわけじゃなくて先輩の口元は隠れていて見えないけど目元は目尻が下がり、とても優しそうな表情だ。


性格はともかく顔が整っているがゆえにトクントクンと小さく鼓動が音を立て始める。



「……固まってどうしたの?」


「先輩もちゃんと笑うんですね」



私が今まで見た笑顔はどこか嘘っぽくて作り物のような気がしていたけどさっきのは違う。


正真正銘の先輩の笑った顔だった。
あんな顔で微笑まれたら誰だって落ちてしまうのも仕方ないと思う。