顔を見たいのに後頭部を律哉先輩の手でがっしり抑えられていて、見られない。


ただ、信じられないくらい早く動く律哉先輩の鼓動が聞こえてきて、本気なんだと思った。



「花蓮ちゃんを溺愛しまくりたい」


「い、意味わかんないですよ…!」


「俺じゃ不満?」



後頭部から手が離れたと思ったら今度は私の顎をすくい上げて、視線が絡み合い、目の前にいる律哉先輩はコテンと首を傾げて私を見つめる。



「ふ、不満とかそういうんじゃなくて……」



なんて言おうか迷っていると、律哉先輩が私の顔にずいっと近づいてきてコツンとおでこを引っつけた。


鼻と鼻が触れ合うくらい、
お互いの吐息がかかってしまうくらいの距離。



「ずっとこうしてたら
花蓮ちゃんは俺しか見えないのにな」



そんなこと言って、色っぽく笑う。


ただそれだけのことなのに鼓動が早くなっていくから不思議だ。


もう…なんか近いし、律哉先輩がカッコよすぎるし…

この気持ちはいったいなんなの?


全然タイプじゃないのに。