【完】イジワルな彼の甘い溺愛





私はポケットの中をゴソゴソと探る。
だけど、お目当てのカギがなかなか見当たらない。


あれ……?
違う方のポケットかな?


そう思って逆側のポケットに手を突っ込もうとしたときに私の手じゃない、律哉先輩の手が伸びてきて先にポケットに手を突っ込んだ。



「な、な、なにを……!!」



へ、変態!
女の子ポケットを許可なく漁るなんて!



「遅いんだよ。腕ちぎれる」


「なら、下ろしてくださいよ!」



私に八つ当たりしないでよ!
せっかく、ここまで連れて帰ってきてくれて感謝してたのに!


しかも、ポケットの中でゴソゴソと動く手が私の鼓動を加速させていく。



「は?無理」


「なんで…!腕ちぎれそうなんでしょう!?」

「お前は黙ってろ」



有無を言わさないように少し強めに言った彼。
だから私は次の言葉を飲み込んで押し黙るしかなかった。


ポケットからカギを取り出した彼はカギを鍵穴に差し込み、ガチャリと開けた。