【完】イジワルな彼の甘い溺愛




「……いつまでそーしてるつもり?」



スッと前から伸びてきた手のひら。


視線を上に向けるとそこには困ったような表情をしながら私を見ている律哉先輩と目が合った。



「律哉先輩が放っていくって言うから…」


「あんなの本気にしてたの?
花蓮ちゃんを放って行くわけないでしょ」



だって、律哉先輩…私を置いて歩いていったじゃん。


誰だってあんなの本気にしちゃうよ。


バカッ…!
律哉先輩のバカバカ!



「…ひどい」


「いいから早く俺の手、掴めよ」



私が掴む前に律哉先輩が
強引に私の手を掴んで立ち上がらせた。


そして、私の前に背中を向けて膝まづいた。


何しているの…?

みんながチラチラとこちらを見ているのがわかる。



私はどうしたらいいのか分からずに
背中を向けている律哉先輩を黙って見つめていた。



「乗れよ、怪我してんだろ」


「えっ…」



もしかして、おんぶしてくれるつもりなの!?
背中を向けられてるし…可能性は十分ある。