【完】イジワルな彼の甘い溺愛




「楽しかったですね」



フェスは無事に終わり、
律哉先輩と駅に向かって歩いているところ。


本当に充実した一日だった。



「そうだね」


「あれ?律哉先輩口調が変わってますよ」



ついさっきまでは怖いほど俺様口調だったのに。


なんで今は王子キャラになっているの?



「だって、ここにうちの高校の生徒が
いるかもしれないんだよ?バカじゃないの?」



当たり前でしょ?とでも
言いたげな顔をして言った律哉先輩。


何回バカって言うの!?
急に態度変えてこないでよ!もう!



「ば、バカって…!
さっきまで普通だったじゃないですか!」


「細かいことは気にしないで、
ほら、ノロノロしてると放っていくよ」



そういって、スタスタと歩いていく律哉先輩を慌てて追いかけたけど、

人がたくさんで追いかけているうちに知らない人とドンッとぶつかって地面に思い切り倒れ込んだ。



「いったぁ……」



膝がジンジンしていてつい涙目になる。
律哉先輩はもう見えないし…足は痛いし最悪。


もう、どこ行っちゃったのよ…律哉先輩。


涙がこぼれ落ちそうになるのをグッと唇を噛み締めて堪える。