【完】イジワルな彼の甘い溺愛




「離してぇの?離したくねぇの?どっち?」



そんなの決まってるじゃん。


私は律哉先輩の手をぎゅっと握り返した。
律哉先輩に触れていたい。ずっとこうしていたい。


なんでか分からないけどそう思うの。
この気持ちの正体はなに?



「ふっ…それでいいよ」



手を握り返した私を見て満足そうに
柔らかく小さく笑うと律哉先輩は歩き始めた。


その笑顔にまたキュンときた。
もう…やだっ!


なんで私ばっかりドキドキしなきゃいけないの!



「手、離して迷子に
なっても探してやんねーからな」


「は、はい!」



そんな暴言を吐きながら律哉先輩は
人をかき分けてライブ場所に向かって歩く。


しかも、歩幅を合わせて歩いてくれる。


万が一、人の多さで手が離れたとき私が迷子にならないようにしてくれているんだろうな。


今日の律哉先輩は
優しいから調子が狂っちゃう。



「やっと、着いた」



思っていたよりアーティストの人たちから
近い場所でテンションが上がってきたよ!


これからあのアイドルグループに
会えるなんてヤバすぎる!!