「もっと、こっち来いよ」
電車のすみっこに追いやられて
目の前には律哉先輩が壁にをついて立っている。
ち、近い…!!
しかもさりげなく壁ドン…!!
「っ、」
律哉先輩の表情は決していい表情ではなくて
どうしてだろう…と思って
パッと先輩の後ろを見ていると、いつの間にかたくさんの人が乗っていて先輩を押していた。
これぞ、満員電車だ…。
「律哉先輩…場所変わりましょうか?」
絶対キツいよね。
ずっと押されてるんだもん。
「バカじゃないの?
何のためにお前をこっち側にさせたと思ってんだよ」
もしかして……律哉先輩は人がたくさん乗り込んできたからわざと私をこっち側にさせたのかな?
何気ない先輩の気遣いに胸がきゅんとした。
カッコいい顔しているのに行動までカッコいいなんてずるい人だな。
「他のやつに触らせてたまるかよ」
「えっ…///」
ぼそっと呟かれた言葉を私は聞き逃さなかった。
息がかかるくらいの至近距離と甘い言葉にドキドキは最高潮。
降りる駅までずっとドキドキは収まらなくて口から心臓が出そうになるのを抑えながら先輩と会場に向かった。