《花蓮side》
梅雨の時期が過ぎて七月に入りジリジリと太陽が照りつけ暑くなり始めた頃。
今日は土曜日で学校も休みな上に予報でも晴れると言っていたし、実際天気も久しぶりに快晴の空。
気分は上々で、今日も一日頑張るぞーっ!
と言いたいところなのですが、
私の気分はまったく上々ではないのです。
それは……
「なぁ、お前…
準備すんのに何分かかってんだよ」
律哉先輩に誘われた音楽の夏フェスに
行かなくちゃ行けないからなんです!!
いや、夏フェス自体は私も行ってみたかったし、むしろ、好きなアイドルも出るから今日を楽しみにしていたけど
先輩と二人きりなんて聞いてないよ〜〜!!
「ご、ごめんなさい」
今は電車にギリギリ間に合って
ガタンゴトンと揺られているところ。
私の準備が遅かったせいで乗り過ごしそうになったのを律哉先輩は起こっている様子。
今日はオシャレしたくてフェスのTシャツにふわっとしたスカートを履いて髪型はお団子にしてメイクもした。
フェスTシャツは誘ってきた律哉先輩が
用意してくれていて先輩は黒で私はピンク。
律哉先輩…カッコよすぎて
目がハートになってしまうよ。
「まあ、可愛いから許す」
「へっ…!?」
最近、先輩はよく私には『可愛い』という。
それはからかっていっているのか、本気なのかはさっぱり分からない。
でも、それを言われるたびに心を踊らせている私は完全に律哉先輩に惑わされている。
惑わされたくなんてないのに…!