「お、終わった…!!!セーーーフッ!!!」
あれから約五分後。
花蓮ちゃんは無事にテキストを終わらせた。
ちっ……終わったのかよ。
正直、ぜってぇ終わんねーと思ってたのに。
「見てください!
律哉先輩のおかげで全問正解です!」
赤い丸のついたテキストを俺に見せながら
嬉しそうにニコッと可愛らしい笑顔を浮かべている。
だからさ、そういう顔…そそられるんだけど。
他の男にも平気で見せてそうだな。
「ん。よく頑張ったな。お疲れ」
俺はそんな花蓮ちゃんを見てどうしようもなく触れたくなって頭の上に手を置いてポンポンとしながら、微笑んだ。
今、信じらんねえくらいドキドキしてるのにこんなに幸せな気持ちになれるなんて…不思議だな。
「っ、」
「ご褒美」
──…ちゅっ
教室に小さく響いたリップ音。
それは俺が花蓮ちゃんの後頭部を引き寄せて、頭にそっとキスをした音。
唇にしたらどうせまた文句言うだろうし、ほっぺとか額はなんかもっと違う時に使いたいじゃん。
ご褒美って言っても俺のことを好きじゃない花蓮ちゃんからしたら迷惑かもしんねぇけど、大事な放課後をお前のために使ってやった俺への感謝…としてな?
これだけで俺は明日も頑張れそうだ。…って言ったら大げさか?



